カタログNO_B067
きっかけ | HPより | 当社への連絡 | 見積もりフォーム |
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引取方法 | お持ち込み | 引取日 | 2001-05-01 |
依頼加工内容 | 工房での作業 | お預かり期間 | 22日間 |
納品方法 | 家財宅急便 | 納品日 | 2001-05-23 |
納品場所 | 神奈川県横浜市港北区 NY邸(個人宅) | ||
納品住所 | 神奈川県横浜市港北区 | ||
ご注文回数 | 初回 |
加工内容
椅子種類/分類1/分類2 | ソファ/木地だしタイプ / 1人掛け肘付きソファ |
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加工内容 | 張り替え / 塗り替え |
数 量 | 1本 |
生地 | 布地 |
柄/フェイス/織り | プレーン / 平織り |
生地調達方法 | サンプル帳より購入 |
加工費 | 1人掛け肘付きソファ張り替え加工費 @ 88,000 円(税別 80,000 円) |
その他の費用 ご依頼条件にて異なる |
塗り替え代、布地代、出荷分送料 ※加工費の他に上記の費用がかかりました |
作業内容の詳細 | 鼓バネが座面に使用されており、バネ糸で全てのバネに絡げました |
Before & After
ソファ張り替え
HPをご覧いただきお見積りフォームからお問い合わせいただき、ソファのお写真を郵送で送っていただきました。当初は3人掛けの肘付きのソファx1脚と1人掛けの肘つきソファx2脚との3脚の張り替えのお問い合わせでした。バネ椅子は張り替えに手間がかかり高額になってしまいました。しかし、何度かメールでやり取りさせていただきました後、1人掛けの肘つきソファの張り替えをご決断いただきました。鼓バネを使用した椅子ですのでバネのからげ直しが必要となります。その分手間がかかってしまいますが、椅子としての座り心地としては気に入っていただけるものとなるでしょう。中身をウレタンに交換しまして張り替えます。その前に布地や中材を取り除いた状態で肘と脚の木地出しの部分の塗り替えをいたします。ここまでの張り替え・塗り替え等加工費は75,000円です。
1人掛けの肘つきのバネ椅子
一昔前のイス張り職人の技能と知識をを余すところなく使って仕上げていきます。”AZUMAのイス張り職人”はバネ椅子を張るだけの技能を十分に身に付けておりますので安心してお任せください。当初お持ちだった3人掛けを新品のソファに買い換えられたそうで、その新しいソファの色に合わせて布地をお選びいただきました。お部屋のインテリアに合わせて布地を考え決められるのも張り替えの大きな要素となっております。NYさんのお選びいただいた布地は平織りといいまして縦横方向に糸が折られているタイプです。それにしても今日ではバネ椅子ということでも珍しいことですが、NYさんの椅子はあおりバネ式のバネ椅子でしたので今後本当に貴重な椅子となるでしょう。あおりバネ式の独特な座り心地は他にはないものですからご自慢できる椅子になると思います。
肘と脚の木地出し部分の塗り替え
木地出しというのは文字通り木地が見えている部分のことをいいますが、木地出し部分の塗り替えは布地やウレタンを外す張り替えと一緒に行うのがベストです。木地出し部分の塗り替えは張り替えの際に木枠だけにしないときれいにはできません。また塗り替えは高額になるため金額的に断念される方も多いのが現状です。NYさんは塗り替えも張り替えと同時にご依頼いただきました。きっと”これからも長く使いたい”というお気持ちが強かったのかもしれません。そのご決断の甲斐あって木地出し部分の肘と脚がこんなにもきれいに仕上がりました。張り替え、塗り替えと両方されますと、まさに新品ですよね。NYさんには直接持ち込んでいただき、納品はダンボールを製作し宅急便で送らせて頂きました。
ReChair椅子張り職人の仕事
1.張り地を剥がす
アラ・カワの親方の修行していた頃の椅子の中身です。順番にはがしていきます。表になる張り地の下には座面の形を整えるために下張りといって薄手の布地で張ってあげます。その下張りをはがすと土手と呼ばれるものが座面の縁にあり、その中にウレタンが入っています。(写真:右)このウレタンは一度張り替えたときに入れられたものでしょう。
2.バネイスの中身
ウレタンを取ると黒綿が出てきます。(写真:左)本来であれば黒綿の上に下張りをするのです。黒綿を取り外すと藁(わら)が入っています。(写真:右)よく乾燥させた藁を適度に細かく切ったものが使われます。
3.ワラとバネ
正面から見ると藁がてんこ盛りに入っているのがよく分かります。(写真:左) 高さ25mmの土手を座面の縁に作るのでその内側に入れる材料として不定形な藁が最適だったのでしょう。藁を取り除くとバネの上に張られた麻布と土手の全形が見えるようになります。(写真:右)本来はバネが麻布を破り難くするために麻布とバネの間に綿や布などを挟む仕事が丁寧とされておりますが、残念なんがら張り替え前は何も挟まれておりませんでした。”AZUMAのイス張り替え”ではきちんと綿を入れさせていただきました。
4.バネ吊り
麻布を鋏で切ってその中身を見るといよいよバネが見えます。最前列に4個の短いバネと2列目以降の9個の長いバネの13個からなるバネが入っています(写真:左)。バネを入れるだけだと倒れてしまったりしてしまいますので、このバネをバネ糸を使って四方八方から絡げて固定します。バネの上端だけでなく下端も固定して、はじめて椅子のバネとしての役割を果たせる形となります。椅子の裏側です。力布と呼ばれる強くて厚い麻テープを縦横方向に張り、その交差する部分にバネを乗せてあります。(写真:右)
5.かぶせ
バネの下端はセリ糸と呼ばれる糸でこの力布と固定します。最前列の短いバネは前台輪の上にのせ前後左右には動かず、上下運動だけするようにバネとバネなどをうまくバネ糸で絡げて固定します。(写真:左)バネを固定し終えたら綿を敷き、麻布を被せて、バネに固定していきます。(写真:右)そのあと椅子本体に麻布を張って高さを調整します。
6.下ごしらえと完成
座面と背もたれにそれぞれ2種類のウレタンを用いて適度な硬さと柔らかさ、弾力を考え、下ごしらえをします。ウレタンの組み合わせを実際に腰掛けてみて、体感して検討していきます。そのため、工場には十数種類のウレタンがあり、その中より”AZUMAのイス張り職人”が決定していきます。最後に布地の型を出し、縫製し、張り込んで張り替え完了となります。
お客様のレビュー
神奈川県横浜市港北区 NY邸(個人宅)
1.張り替えの仕上がりに関するご感想
座ると確かに少し硬いけれど背筋の伸びる感じがしました。適度な緊張感のあるクッション、丁寧な縫製、職人技の確かな手ごたえを感じました。40年前の椅子に3度目(1回張り替えていますから)の命が吹き込まれたと感じます。息子に「この椅子はおじいちゃんが好きな椅子だったけど、今度はパパの椅子になるんだよ、その次はおまえの椅子だよ。」と話しました。現在では小振りなソファーですが、家の主人の椅子として大切にしてゆきたいと思います。丁寧な仕事 ありがとうございました。肘の塗装もここまできれいになるとは思いませんでした。塗装屋さんにもお礼の旨お伝えいただきたいと思います。
2.張り替えを注文するまでの不安
メールでのやり取りで当方の質問にはきっちり答えていただき不安はありませんでした。特に夜中の2時45分に回答をいただいた時にはその責任感に感服しました。
3.アラ・カワの接客態度
5月1日にソファーを持ち込んだときにお会いしましたが非常にまじめ、前向きの印象を受けました。それ以前のメールのやり取りでも丁寧、的確な応対で好印象を持ちました。
4.その他お気づきになられた点
特に有りませんが、貴社のようなハンドメイドの仕事をセールスポイントにする会社が隆盛するよう祈念します。良い仕事をありがとうございました。